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Channel: 信州小諸通信
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新生病院訪問

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 障害者施設小諸学舎を支えている社会福祉法人一恙会(いちこうかい)の研修会に誘われたので、ご無理をお願いして参加させてもらいました。ちょうど中学のときの恩師が出版された「ウォーラー司祭その生涯と家庭」を頂き、この司祭がカナダの聖公会とのやり取りの中で、この病院の建設に寄与されたことを読んだばかりだったので、大いに関心を持ちましたし、以前に教会めぐりをしていたとき、ここの新生礼拝堂を見に行ったこともありました。是非という気持で参加させてもらいました。
 
 小布施の北斎館などの近くにある病院で、以前に訪ねたときは全面改築中だったのが、すっかり近代建築によって立派な超現代的建造物になっており、感動しました。
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 この病院は、聖公会によるものです。聖公会長野聖救主教会にカナダから遣わされたウォーラー司祭が、昭和初期の頃、日本では若者に結核が蔓延していると報告したことを受けて、それではと日本に結核療養所を建設することを決定し、ウォーラー司祭に建設候補地を探すように指示したといいます。その頃、小布施に居た信徒たちが聖書研究会をしていた縁で、現在地を探し出して、昭和7年に前身の結核療養所が創立されたといいます。その基本はキリスト教の隣人愛によるものです。「わたしたちはキリストの愛と精神にもとづき、医療を通して全ての人々に仕えます。」と病院の基本理念を謳い上げています。2年後に、付属のものとして礼拝堂が建設されたのでした。研修会では、その礼拝堂の司祭であり、病院のチャプレンが最初から最後まで丁寧に説明して下さり、案内してくれました。その中で心に残った言葉は、病院が先にあって、教会は後からできたということでした。すなわち病院の活動が布教の手段という視点ではないというのです。ですから礼拝堂の聖壇の下に納骨堂があるのです。病院で亡くなった方への心尽くした体制が整っているのです。初代から聖公会の主教が負っていた理事長を、地域にしっかり根付く「地域密着型病院」を使命とするためにと、平成10年からは小布施町長を理事長に迎えているとのことです。また礼拝堂は町の「町宝」に指定され、町民の支持を強く受けています。
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 病院内を具に案内してくださったのですが、患者中心の思想が行き届いていることがよくわかりました。例えば、亡くなった方については、小礼拝室が院内にあり、静かに送れる雰囲気が工夫されています。大概の病院では地下室などに霊安室があって、まことに冷たい部屋というのが多方なのですが、ここではとても暖かい扱いを受けることがわかります。
 
 もっとも感銘を受けたのは、ホスピス緩和ケアについてでした。担当の看護師さんから詳細な説明がありましたが、主にガン患者の方で、終末看護について、行き届いた配慮がされているのがわかりました。ホスピスについては、浜松の聖隷病院が伝統的に有名ですが、それがこの小布施にあるということでした。「一人で頑張らなくても良いのです。いつものように、家にいるときのように」という基本的な姿勢が溢れているのでした。家族の面接についても時間制限もとっぱらっています。家族室の利用によって自然体が保られますし、一人静かに祈れる「祈りの部屋」もありました。チャプレンのカウンセリングも、信徒、未信徒の別なく受けられます。屋上のテラスには、花畑があったり、家庭菜園もできるという生きることへの動機付けさえできます。こういったキリストの愛に根ざす奉仕が地域に受け入れられていることに感銘を受けました。
 
 
   (「ウォーラー司祭その生涯と家庭」⇒http://blogs.yahoo.co.jp/akira_o2ka22/35284193.html 14.7.13)
  (「新生礼拝堂」⇒http://blogs.yahoo.co.jp/akira_o2ka/36055215.html '06.6.9)

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