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「筆子 その愛―天使のピアノ―」

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 以前「石井のおとうさん ありがとう」という映写会をUPしたことがありますが、その時の監督山田火砂子さんが、今度は障害児教育の母と呼ばれた石井筆子を扱った作品を作成中であるとの話を聞きました。その年内に上映されるとか聞いていたのですが、それを観賞する機会がないままでしたところ、この度、障害者施設の小諸学舎の上部団体一羔会が、映写会を主催してくださるとのこと、勇んで行ってきました。

イメージ 1 前作と同様、史実に忠実な制作で、好評な作品です。監督自身が重度知的障害の娘さんをもっているというだけに、説得力ある社会福祉への提言と見えます。今の障害者政策の前史にはこれほどにもひどい差別があったこと、困難を極めてその分野を切り開いた先人の苦労にはただただ頭が下がります。
 「知的障害者教育・福祉の父」と言われる石井亮一が始めた障害者施設滝の川学園の運営を軸にする映像ですが、筆子は自身障害の娘をもったことから、その学園に娘を託した縁で、石井亮一の妻となり、献身的に障害教育に携わっていくことになるという内容を、懇切丁寧に表した作品です。その喜怒哀楽にはつい涙してしまう作品でした。
 石井亮一は、濃尾地震で親を失った孤児の救済に尽くしていた「石井のおとうさん」石井十次に感動して、共に孤児救済事業に携わったことが、後の知的障害児教育への道につながったという奇異な経緯があるのでした。

イメージ 2 鑑賞会の後、「愛を愛で応える」と題して、軽井沢のショー記念教会の聖公会執事である江夏一彰氏の後援がありました。それによると、石井亮一は聖公会で洗礼を受けているクリスチャンであり、ショー宣教師とも交流があったとのこと。
 また、筆子夫人は、華族の家に生まれ、日本初の海外女子留学生として帰国後は「鹿鳴館の華」と称せられる才女であり、津田梅子らと近代的女子教育の先駆者の道を歩んでいたそうです。滝の川学園は、その後、園児の失火により継続が困難になった時には、財界から渋沢栄一が支援に乗り出し、理事長に就任し再建に寄与したとのことです。また、貞明皇后から存続するようにと支援を受けています。経済恐慌に見舞われて存続が難しくなった折りには、秩父宮雍仁親王夫妻の学園来訪があって、世間に認められるということもあったとのこと。亮一は昭和1270歳で聖路加病院で亡くなり、その後には、筆子が校長として継続されたのでした。滝の川学園には、筆子が使用したピアノが修復されて現存し、生きた証言者足るとのことです。

 (「石井のおとうさん ありがとう」⇒http://blogs.yahoo.co.jp/akira_o2ka/39286245.html‘06.8.27)








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